2本のイベントを後回しにして初オリ(アンティ)のレビュー。
オリアンティという人。。。
初めて耳にしたのは、やはり亡くなったマイケル・ジャクソンの(生死に関わらず)最後のツアーのギタリストとして同行。。。するはずだった女性として脚光を浴びた時だわな。で、その後彼女の地元、オーストラリアで発売されてるインディーズからのアルバム「ヴァイオレット・ジャーニー」を聴いて、若いのに土臭い楽曲もこなし、時としてサンタナぽくも聴こえるギターの、女性ならではの繊細さと男勝りのダイナミックさを併せ持つ特異なサウンドにかなりの期待を持ち、メジャー・アルバムを楽しみにしていた。
しかし、リリースされたその作品「ビリーヴ」は、いわゆる「ガールズ・ポップ」な曲で占められ、「脂取りなんとか」、じゃない、アヴリルなんとか、みたいな子に任せときゃいいような楽曲ばかりで、一転失意のずんどこ、じゃないどん底。以降、興味が失速しておなざりに(苦笑)。
どういうブレーンが付いてるのか知らんけど、彼女が進むべき道は違う、もっとギター・オリエンティッドで、ブルージーさを感じさせる路線のほうが彼女の持ち味生かせるのに、そして彼女自身も進みがってる方向に違いない、そう信じてやまなかった。
で、時はかなり流れて、再び彼女に着目したのは、政則さんがROCKON、PRT両方で彼女の新作を強力プッシュ(前者では毎週にようにかけ出した)しはじめたからで、ラジオから流れるその曲に、「これが望んでいた音」と感じたからだ。
それが、このアルバム。
1CD / Orianthi / Heaven in this Hell
もう口で説明するより、聴いてもらうほうが手っ取り早い、ってくらい、俺が彼女に望むものすべてが詰まって、むしろおなかいっぱい、今後が大変そうって心配になるほどの傑作だ。
そんなアルバムをひっさげて、しかも「ブルーズを聴かせる」という場にふさわしい(何度もその名演を見ている)ビルボードでのライヴってんだから、行かない理由はない。ってことで、かなり期待をしてその日を待つ、GW11連ちゃんの最後のライヴって俺のコンディションも心配な中w
最近行くライヴが被って、今回初めてビルボードへ参戦する友人と待ち合わせて、談笑しながら会場へ。俺はカジュアル・シートだったのでそのまま別れて上へ。ちなみにここでは定番の席(大体、予約開始されてもしばらく余ってるような)があるんだが、今回は即予約でも取れずにその1つ横。これも彼女の人気のせいか?とも思ったが、客層はここのいつものショウと同じで、若干アダルティ(早い話が俺も含めておさーんばっかw)。でもそのほうが今回は願ってもないことだ♪
そしてショウはスタート。
今回3ピースのバンド形態なので至ってシンプル。早速アルバムのタイトル・トラックを始めとする新作からの3連発。うんうん、イイ。まぁ歌は不安定だけど、ギター弾きだからしゃーない。むしろ味が出てるようにも見える♪(って褒めてるのか?)それよかギターの力強さが心地いい。心に響くよ。てか、帽子を被ってて上からは口元しか見えないぞ。たまには脱いで(帽子をだよ)挨拶しろや♪日本語で「アリガトウゴザイマス」と言いたいのか、でも「アリガ、タイ」としか聞こえないのも愛嬌だわな。
続く3曲は前作から。聴くのもムカつくので予習してかなかったので退屈〜。。。かと思いきや、"What's it Gonna Be"におけるドラマーのダイナミックかつテクニカルさが観てて楽しい。この人、グレン・ソーベルという人で、インペリテリとか長くメタル畑にいた人。。。てか再結成アルカトラスにいて、俺会場でのサイン会でTシャツにサインもらったぞ(並んでて不本意ながら彼の順番に当たったという、苦笑)
これがソレ。大切だと思ってなかったから着ては洗ってもうこんな状態にw
でもこうして間近で凄いプレイを魅せつけられて神ドラマーだったと再発見できて狂喜。"Bad News"で早めのトイレ休憩取ったんだが、このタイミングでよかった(爆)。続く"Think Like a Man"でも彼にくぎ付け♪
で、この(彼女からみれば)ヒット・アルバムからの3チューンで、オリも客を煽り出して、さぞ盛り上がるかと思いきや、最前の1テーブルの客が立ってノッってる以外は、いたって冷静。当たり前です、ここはライヴ・「レストラン」なので。
その状況に彼女も少し困惑してるのが、目に見えてきはじめた。
気が付いたらアコギのサポートが一人増えてて(いつの間に)、コーラスの上のほうも担当。続く"How Do You Sleep?"は正にどブルーズ。一番生で聴きたかった曲だ。ううう、ギターが泣いてる。俺も泣きそうだよ。たまんねぇよぉ (T~T) この1曲だけでも今日来た価値充分だよぉ。てか明日大阪まで付いていきてぇ(爆)。
続く"If U Think U Know Me"って、新作中では数少ないポップなんだけど、「ロスト・ハイウェイ」頃のボン・ジョヴィを彷彿させてかっちょいい、てかジョンに歌わせてリッチーに弾かせろや、絶対に合う♪ ここで「ヘイ、イェーイ、イェーイ」というコーラスを促して盛り上げさせたがってたが、ほとんど客は歌ってない。。。てか、ここに来てる人たちの新作への評価ってどうなんだ?とにわかに気になり出してきた。当然オリ自身もそう考えてるに違いない。
次の"Better with You"は新作の日本盤にボートラで入ってるポップ・ソングだが、俺が買ったのは輸入盤だったので知らず。ここでもグレンばっか観る。あ、ベースの人もネイティヴ・アメリカンぽい顔つきの凄いマッチョで存在感充分な人よ。
再び新作本編に戻り、イカした2曲。"Fire"では客の力強い「ヘイ!」の拳がほしかったんだろうが、ベースが促しても空回りの感。何度も言うけどここはレストランです。付け加えていうなら、ここにちゃんと耳を傾けて集中して聴き惚れてる人がいますw
ここでスティーヴ・ヴァイについて語りだす。15歳の時に出逢ってマブダチ。。。といったかどうかは知らんがw そしてアルバム未収録の"Song for Steve"をプレイ。一部評論家レビューに前作で彼と共演してPVもある曲だと間違えられてるけど、全然違うのに気づかんのかい(失笑、ググればわかるだろうに)。
そしてMCを挟む気もなくなったのか(汗)、続けてこれまた日本盤ボートラの"Sex E Bizzare"へ。で、これが本編最後だというのが、彼女が"Thank you Good night"と告げてその場を捌けたので知る。なんか締まらない終わり方。。。
アンコールは、彼女最大のヒット・シングル、"According to You"で、盛り上がり。俺には彼女との一時決別することになった元凶の曲だったから何も感じなかったけど。てか、十八番のはずなのにまともな音程で歌えねぇのかよと苦笑。続けざまにジミヘンの"Voodoo Chile"でギタリストとしての本領発揮。これが凄い熱演で、終始弾きまくりの姿で圧倒される。俺も惜しみない拍手を彼女に。最後まで顔見えなかったけどw
なので、彼女がどんな気持でこのステージに立ってたのかが皆目見当がつかなかった。普通嬉しがってる顔が見えたりすると、こっちも安心するんだが。"Thank You !"と短い挨拶をしただけで、観客の声援に応えて別れを惜しむしぐさもなく、そそくさとステージを後にする姿しか映らなかった。
14/05/2013 Billboard Live Tokyo Orianthi setlists
Heaven in This Hell
Frozen
You Don't Wanna Know
What's it Gonna Be
Bad News
Think Like a Man
How Do You Sleep?
If U Think U Know Me
Better with You
Filthy Blues
Fire
Song for Steve
Sex E Bizarre
Encore
According To You
Voodoo Chile (Slight Return)
あ、言っておくけど、彼女の演奏に対しては100%満足してるし、新作のほとんどをプレイしてくれたことに関しては100点満点で200点つけてあげたい気持ではいる。
ただし、彼女自身が今回のようなステージでどう立ち回ればいいのか?ってのがわかってなかった、ってのがこっちに感じ取れてしまった時点で、この子はプロとしてまだまだ場馴れしてない未熟なお子ちゃまだなと思わされざるを得なかったわ。
昔から、日本人はショウの間おとなしいけど、音に対して熱心に注意深く耳を傾けて聴く人種だと、向うのアーティストによく言われてるのを訊くよね。それは世代が変わったとしても変わらない、ウチらの誇れる美徳ともいえる。特に今回のビルボードみたいなところでは客はそうあるべきだし、ミュージシャンもそれを承知でプレイすべきだ、とも。でも日本ではフェスやスタンディング公演ばかり経験して今回みたいなのが初ケースだったので、両者とも困惑してしまっていたのは目に見えて明らかだった。
アメリカこそ、そういう自分がアウェイな場所でプレイしてブーイングの洗礼を受けたり揉まれて、経験積んで成長していく場所だと思ってたんだが、どうやらこの人は偉大なアーティストに目をかけられたことで甘やかされて温室で育ったか、周囲がショウビズとしての間違った利用をしてるとしか思えん。そういう意味ではオズフェスに出ると告知されて総スカン食らいつつも乗り切ったももクロのほうが全然プロフェッショナルだと思う。。。のは俺だけかw
自分のあるべき姿。居心地のいい場所がどこにあるのか。
彼女がそのことに気付かないで今後も活動していくなら、これ以上の不幸はないよね。
いや、気づいてないはずない、自分がこの先どういう道を進むべきか迷ってるのは誰でもない、オリ自身だと。そう感じたライヴだった。
道が見つかったら、また逢いましょう。
って、俺も説教臭いこというおさーんになったもんだ(苦笑)
あ、もうひとつ加えるなら、本国だけでなく日本においても同じだよ。彼女のレーベルはもうちょっと考えてやれよ。ビルボードのHPに載ったレビューがひどすぎ。「『ビリーヴ』からの曲が大半」とか、ホント観て書いたのか疑ってまうくらい。自分たちの飯の種と見るんじゃなくアーティスト、人間として。才能潰すなよ。
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