KINO、涙の夜

| コメント(0)

2000/07/19 (水)

 先週日曜、ウチに全世界対応ビデオデッキが届いた。アイワが出しているもので
フランスを除く全世界のテレビ方式で録画されたビデオの再生はもちろん、
海外での使用を本来の目的としてチューナー・録画もこなす(電源関係も世界対応)
スグレモノ。昔は業務用で30万以上してたものが今や量販用として9万弱で買え
ちゃうんだから安いものである。

 当初の目的は当然先日購入して放置してあったTHUNDERのホームビデオを
観るためである。まぁ、それだけでなく、ちょくちょく渡英する者にとっては向こう
のショップに並ぶビデオは目の毒だったのがやっと解消されること、PAL方式の
国の友人が少なくないのでコレでやっとやりとりができることも含まれているから
格好のツールなのである。

 さて、徐々に本題へ。で、THUNDERが最後にリリースした裏ビデオ(爆)
"In Out Put The Kettle On !!!"であるが、これが絶品である。彼らがファンクラブ
"THUNDER CHANNEL!"のイベント用に撮りためておいた十数年間のホームビデオ映像を
編集したもので、途中不完全なビデオクリップが挿入されてはいるが、おふざけしか
入っていない代物である。コレがもう大爆笑。主だったシーンには

 ・ホテルではしゃぐSnake, Ben, Harry
 ・乱交中のBenの部屋のドアをぶち開けて突入するセックス・ポリス達
 ・エアロビに挑戦するもくたくたな面々
 ・ニューイヤーズイブのLuke, Dannyの女装大会/乱交パーティ
 ・SnakeがVJのビデオ・ショーのNG集
 ・CNNニュース/極悪Harry逮捕の続報
 ・生真面目Michael Hoglandの酔っ払いパンツ姿
 ・ラストツアー大阪パンツ事件
 ・OFFのカラオケ大会
 ・日本人ツアースタッフとのおふざけ

等々、数え上げたらきりがない大爆笑の連続。Andy Taylor, Mike Frazer, Russ
Halfinといった知った顔(素人含む。爆)を交えながら40分間矢継ぎ早に繰り出
されるギャグのオンパレードは彼らのセンス・オブ・ユーモアが「一芸」に近いこと
を証明している。無論彼らのライブに行ったことのある人なら誰でも承知ではあろう。
いや、ユーモアを通り越して「コイツら、バカか?」の世界だ。

 それにしても芸歴の割に彼らが出したオフィシャルビデオソフトはたった2本で
ある。しかも俺は1本目は持っていないこともあり、彼らのビデオ・クリップという
ものを完全な形で観たことが一度もない。ここはEMIに是非完全なビデオクリップ
集をリリースしてほしいところなんだが。

 2夜立て続けでコイツを観て、翌18日、いよいよ待望のラストジャパンツアーの
ライブ盤発売(前)日。定時に上がり新宿タワーへ。これだけで気合が入ってたこと
を物語ってるでしょ?更には、驚くべきことに前日英国発売のラストコンサートライブ
盤の2枚組限定バージョンのほうが大量に。通販で予約状態だったが手を出さずには
いられなかった(限定版が送られる保証もなかったので)。もう狂喜状態。他の
買い物をとっとと済ませ、他に500ミリビール缶3本抱えて帰宅。さぁ、これから
計3枚分の、「彼らと観客俺一人のショウ」の始まりである(笑)。

 さっそく"Open The Window, Closed The Door"から。ところがコレがイマイチ
しっくりこない。79分マキシマムで収録されているものの、所詮4公演分の
ダイジェストの役割しか果たしてない。大体ラスト3曲でアルバムの半分近くの時間
をしめちゃうのである。全公演観た者には消化不良以外の何者でもない。英国盤より
もバラードを多く含んでいるが何よりいかにも「日本の技術屋が収録したライブ」が
持つ希薄なライブ感(TV中継なんかでいつもそう思う。スタジオライブのようで
演奏重視、観客の声が殆ど入らない臨場感ない作り)が納得いかない。特に独特な
グルーブを持つ彼らだけに残念でならない。はっきり言って大阪ブートのほうが
全然いい(苦笑)。まぁ、そういいつつも首を振って大汗をかく。

 続いて"They Think It's All Over... It Is Now"。こちらを初回限定である
第1部アコースティック&Q&AパートをおさめたCDの方から聴く。
アコースティックといってもプロモ来日でのLuke, Danny二人の弾き語りでなく、
あくまでもバンド全員でのプレイであるから熱い。
 そしていよいよ本編。これが正に迫真のプレイ。曲がかなりだぶるし、
英国人といえさすがにチッタの半分のキャパ、650人の歓声はどっこい
どっこいだが、それでもなお邦盤とは比較にならないボルテージである。
もう全開で近所迷惑も顧みず大合唱でジャンピング。呼吸困難に陥る寸前の
大興奮状態で、情景を想像する。

 でだ。突然のハプニングは中盤を過ぎて本編終了1曲前の"Love Walked In"
で起こる。イントロを聴いた途端、突如として涙が溢れ始めた。これが止まらない
どころか例の大合唱を口火に、次第に嗚咽に近い声を上げ始めることになる。
先の邦盤バージョンでも、解散宣言から英国含めて計12回のライブを観ても
泣かなかった「この俺が」である。酔っ払っているせいか。汗が混じって目に
沁みる。続く"Just Another Suicide"で立ち直るも、ダニーの"Thank You For
10 Years..."の一言でまた号泣。そう、彼らの本当に最後のオフィシャルリリ-ス
を目の当たりにして「これでおしまい」という事実がはっきりと自覚してしまった
からなのだろう。あとは酔っ払い度合いも加わってもう心身グチャグチャの状態
である。

 聴き終わってシャワーへ。完全な水で延々と浴び続けた。その間も涙が
止まらなかった。

 人間の感情はいろいろな状況によって過敏に反応するものなのかもしれない。
たとえそれが他人にとってどうってことないことでも。ひょっとしてこのアルバム
もそうなのかもしれないが、今の俺はぽっかり穴があいた気持ち。こんなこと、
二度と体験したくない... そう思った。当分彼らのCDは涙して聴けないだろう。

 だから...ファンを愛し、ファンに愛された誇り高きバンド、THUNDERを
しばらくここに封印したい。最大限の感謝の気持ちをこめつつ最も簡潔な言葉を
贈って。「本当にありがとう」 We Think It's All Over... It Is Now.

コメントする


ここが静かな時は
ここで暴れてるか
鑑賞中です♪

月別 アーカイブ

ウェブページ

  • about
Powered by Movable Type 6.0.3

2015年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

このブログ記事について

このページは、kino1989が2000年7月20日 22:53に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「「贈られた言葉」「贈る言葉」」です。

次のブログ記事は「ライブ3題」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。