鋼鉄の処女の鋼(はがね)の意志

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まずはしとらんかったアルバム・レビューから
Iron Maiden / A Matter Of Life And Death (邦題「戦記」)



※リンクは12/20に再発されるDVD付き仕様国内盤

アイアン・メイデンはもともと複雑な楽曲を得意とするバンドである。
1曲の中で変調を繰り返し、表情が何度も変わる曲が多い。バンドを
牽引するスティーヴ・ハリスの思い描く世界はある種プログレにも
通じるところがある。

ブレイズ時代わないものと考えてる俺にとってわ(苦笑)、「フィアー・
ザ・ダーク」以降の彼ら、特にブルースとエイドリアン復帰後の6人
編成になってから同路線への傾倒を強く持ち合わせていたことに
違和感はなかったし、「ブレイヴ・ニュー・ワールド」は新旧のメイデン
らしさをうまく融合させた最高傑作とまで言い切ってしまいたいほど
だった。

翌作「ダンス・オブ・デス」でわハードな側面はシングル・カット曲に
集約して、その他の曲を長尺でじっくり構築と、幾分セパレートした
ことが新機軸・実験的に感じて逆に面食らった部分もあった。

そして、満を持して発表された本作。とにかく発表前からの評判
で、好き嫌いがはっきり分かれるだろうと訊いていたし、10曲ある
中で4分台が1曲、5分台が2曲、残りを7-10分の大作が占め
るということで、俺は期待と同時に前作に思った不安もあったが、
通販待てずに8月下旬の輸入盤解禁当日にタワーへ足を運んで
手に入れ、その世界観を目の当たりにして、その異常なまでの
興奮を覚えたのを記憶してる。

たしかに似通った印象を受ける曲が続くけど、どの楽曲も冗長な
だけとは言い難いフックを個々に持ち合わせているので聴きやすく
思ったし、その意味では長年の方向性が「ここで遂に完成」された
アルバムなのだと感じて鳥肌が立った。

実際、俺、アルバム1枚通して聞き続けるってことわあまりない
んだが、これは捨て曲なしで全曲ローテーションできるほど気に
入ったし、今は本作が彼らの最高傑作であると念を押せる。


発表後ほどなくしてツアー前半に組み込まれた来日も決まり、
毎回新曲を5-6曲はプレイする(現役バンドのプロモーション
ツアーなんだから至極当たり前のことだができていないバンド
も多い汗)彼らだから、どの曲がプレイされるかも楽しみでその
日を待つことになったわけだが。。。

先週TVKの「ロック・シティ」で伊藤政則氏の口から驚愕の
事実を知らされる。口開きとなったアメリカ・ツアーで、彼らは
新作を「1曲目から全曲」演奏しているのだと。2時間のショウ
のうち、80分近くを「戦記」アルバムのために裂いているという
のである。

パープルが「マシン・ヘッド」を、ディオが「ホーリー・ダイヴァー」を、
最近ではメタリカが「マスター・オブ・パペッツ」を完全再現してる
けど、それわ長い年月を経て「名盤」というお墨がついたこそな
わけで、新作をこのような形で再現するのわ、クイーンズライクが
「オペレーション・マインドクライム」を発表した時のツアー以来
だと思うし、あのツアーでも全曲パーフェクトだったかわ記憶に
定かでない。

いやがおうでも俺の期待わ高まり、そして、その「前代未聞」を
確認すべく迎えた日本ツアー初日。メイデンにとっても20年ぶり
の武道館から今、帰ってきた。

内容について細かいことわ今後のツアー記に書くが、単刀直入
にいえば、世界にも名高い「武道館という聖域」だからと奇をてら
うことなく、アメリカと寸分たがわないままの形で彼らはプレイを
始め、その偉業をやり遂げたのである。最後の"The Legacy"が
トリプルアコの〆で静かに終わったときに、言うに言えない感動
の電気が俺の中を駆け巡った。会場は割れんばかりの喝采に
包まれてた。他の観客も同じだったものと信じてる。

訊くところによると、アメリカでは耐え切れなくなったファンが
「もっと名曲を!」と書いたプラカードをステージに投げ入れた
そうな。ブルースわそれをビリビリに破り捨ててショウを続行
したという。それは昨年の「オズ・フェスト」でおきた事件への
アメリカへの回答であったとも言えないか?

現在のメタル・シーンに王者として君臨し、自分たちの信念を
つらぬき通すために一切の迎合・妥協を許さない。曲がること
のない鋼(はがね)の意志を強く感じるエピソードである。
そして俺にわあと3公演分、「歴史」を目撃することができる
機会が与えられている。。。無性に楽しみである!


2006/10/25 日本武道館 setlist (間違いようがない曲順、爆)
Different World
These Colours Don't Run
Brighter Than A Thousand Suns
The Pilgrim
The Longest Day
Out Of The Shadows
The Reincarnation Of Benjamin Breeg
For The Good Of God
Lord Of Light
The Legacy
Fear Of The Dark
Iron Maiden
Encore
Two Minutes To Midnight
The Evil That Man Do
Hallowed Be Thy Name

コメント(3)

なんか、凄そうですね、メイデン。
う~む、買っちゃおうかな。

Queensryche、Operation:Mindcrimeのツアーでは7割方やってました。
次のEmpireツアーの中間で、Operationを全部やったような覚えがあります。
それをOperation:Livecrimeにしたのかしら?

いやあ 良かったす。今回 全曲演るっちゅうことで わざと予習をせずに参戦しましたが、これはメイデン史の中に伝え残るツアーになる実感がしましたよ。さらには、あたいの初メイデンが、約20年前の「サムホエア~ツアー」で、場所はここ武道館! その後、 NHKホール 中野サンプラザ 渋谷公会堂 横浜アリーナ さいたまアリーナ・・など、日本上陸したメイデンとは この20年 様々な場所で出逢いを紡いで来ましたけど、またこうして 自分のメイデンとの初出逢いの原点で 再会出来るなんて 胸に込み上げて来るものがありましたすよ(≧ε≦) 明後日が また楽しみ\(^ー^)/  余談ですけど、昨夜帰ってからネット見てたら、どっかの掲示板で、ブルースが 曲の頭と尻で 泣いてたポーズは何故?!何で?!と論議しあってるサイトがあったけど、対訳歌詞ぐらい見とれって。歌詞読めば、だいたいの心中わかるっしょ(-"-;) キノさん、あたいらのブロックの最前列あたりに 政則が居たそうすよん。

自分の信念を貫き通せる人はやっぱりかっこいいです!

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ここが静かな時は
ここで暴れてるか
鑑賞中です♪

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このページは、kino1989が2006年10月26日 00:38に書いたブログ記事です。

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