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鹿児島は朝4時半に起きて露天風呂と洗濯機を回し、6時のバスで空港へ。9時半には東京へ着き、一仕事終えてから、カヴァが敬愛するサム&デイヴのサム・ムーアの公演を観にブルーノートへ。ツアー途中に一旦戻ってよかったと思える濃厚なショウ(俺にとって2度目)に大満足して一時帰宅。


開けて4日、名古屋へ向う。片道90分は今回のショウと同じ長さ。予習にもってこいだった。


今日、ここ名古屋市公会堂が、俺にとってこのツアーの最大の見どころだと確信してた。


6年前にラウパのヘッドライナーでやってきたヘヴン&ヘルの単独公演をここで観た(残念なことにロニー・ジェイムズ・ディオが日本で最期に立ったステージになってしまった)。その際に、この会場の外装・内装の年季入りを目の当たりにして、ここがカヴァのホームグラウンドであるニューカッスル・シティ・ホールになんとなく趣が似てることにかなり興奮した。

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まぁ今回じっくり見て桟敷があるくらいでむしろこっちのほうが丁寧にメンテされてる気もしたが(え、コレでもかよw)。


しかもバンドはかつてここでプレイをしたことがある(ここでの記録だと1983/2/21が最後になってるが、カヴァは「32年ぶり」と言っていたので実際は1981/6/27なのかもしれない)。いずれにせよ残る5公演は追加で出たAXのスタンディング形式を除けばかつて迫真のパフォーマンスを繰り広げた由緒正しいホールでの再演。エモーショナルかつパッション全開さすカヴァがこれらの会場で何も感じなかったとしたら、もうボケが始まってるんだろうから引退を薦めたいとも言えるw


2列目に駆け付けると東京・沖縄から駆け付けた友人達が先に。再会を交わし、「100%納得のいくことが保証された」はずのショウの始まりを待つ。


いつもの暗転中にレブが駆け出して客を煽るところからテンション最高潮。


。。。だったのはジツは客のほうだけだったということに気付いたのはカヴァが"Don't Break"の入りを間違えて早まったところでだった。声が荒れてる、というか不安定。


案の定、次のMCで喉の調子を気にして、逆に変な声を出して観客に真似させて笑いを取ろうとする。どうした、何があったんだ?前日ガーリックてんこもりのステーキを食べてスタミナ十分なはずじゃないか?"Is This Love"も空回りの感。てか、ほとんどウチらに振る(苦笑)。上だけでなく低音も充分に出せてない異常事態だ。例えば、97年のラスト・ハラー11公演でも中盤疲れて声がしゃがれているのが看て取れたけど、そういうケースとはまったく違う、初めて目にする光景。そういえば2009年もプリーストのサポート中に喉の故障を起こして中座してるんだよな。


幸いにして次がギター・バトル。カヴァの調子を気遣ってか、普段より長めのソロが展開される。特にレブはこれまでにないシャッフル調で始めて客を魅了する。この二人のいたわりが涙が出そうなくらいに嬉しかった。ただし、15分かそこらの時間を費やしてもカヴァの調子は回復することもなかった。。。この日が初お披露目となる白地にユニオン・ジャックの「メイド・イン・ブリテン」シャツも着替えることなく進んでいく。


ふと、1997年1月31日サンダーの五反田ゆうぽおと公演を思い出した。あの日ダニー・ボウズがインフルエンザにかかってしまい、それでも無理をするもんだからコントロールを失った剛速球が客席に飛んでくるかのようで、痛々しくて見てられなかった。ショウは切り上げられて、代わりにルークとハリーが1曲ずつファン・サービスする形で終わったんだった。


でもカヴァはショウを続行しようと必死なところを見せようとする。32年ぶりのこの会場に来てくれたファンのために。でももういいよ、ショウを中止してくれてもいいくらいの状況なのは誰の目にも明白なんだから。


歌えずにこちらに振る、こちらも懸命に歌う。さすがカヴァが「ホワイトスネイク合唱団」と名付ける俺らである(オイオイ)。03年国際フォーラムでスタート早々マイク・トラブルに見舞われたのを大合唱で乗り越え隙を作らせなかった"Bad Boys & Girls"たちがここ名古屋にも大勢いるんだということを証明してくれてる。


"Here I"で引っ込む時間も惜しんでラストの"Still"へなだれ込む。
そしてギター・ソロの最中にカヴァは、俺が70回近く観ていて初めての、驚くべき行動に出る。

体育館の舞台のようにかかっている階段を下りてきて最前の客、男達とはハイタッチ(いや、ローか)、女性とは抱擁、そしてそのうちの一人に、この曲のPVで(前妻と)見せたような強烈なキスを交わしたんである。俺の目の前だったんでただただ唖然とするしかなかった。

再び壇上に戻り曲はフィニッシュを迎える。最大級の謝辞である"Thousand Thanks"を3回繰り返し、最後の気力で"Still of the night"3連発。こうしてこの日のショウは幕を閉じた。会場では拍手が続き、その場を離れがたいファンがステージに群がる姿があった。

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Setlists

SE: My Generation

Give Me All Your Love
Ready an' Willing
Can You Hear the Wind Blow - Don't Break My Heart Again
Is This Love
Gambler (Dedicate to Mel, Cozy and Jon)
Love Will Set You Free
Guitar Duel
Steal Your Heart Away - Drum Solo
Ain't No Love in the Heart of the City (Acoustic)
Guilty of Love (Acoustic)
Forevermore
Hit an Run - Fool for Your Loving
Here I Go Again
Still of the Night

Outro: We Wish You Well
SE: Always Look on the Bright side of Life


終わってすぐにツイッターで「エモーショナルなコンサートだったが、『いくつかの理由により』声が出せなかった」ことを謝罪するカヴァ。


終演後の呑みで、何を反省し、誰を責めたらいいのかが判らない、これまでに経験したことのない空気が流れた。


だってそうじゃん?カヴァは手を抜こうとしたわけでもなく、逆に最後までこれまで同じショウを遂行しようと頑張る姿を見せつけたんだから。それに、誰よりも悔しい思いをしているのは他ならないカヴァ自身であることを思えば。